藤原先生による教育コラム

引き続き、事実と意見の違いについてのお話です。前回、事実と意見の見分け方として、事実は「客観的に証明することができる」が、意見は「客観的に証明することができない」と区別しました。

ニュースの信ぴょう性

しかし日常生活では、お子様のみならず、私たち大人もニュースや記事を鵜呑みにしがちです。米国大統領選でもフェイクニュースが話題にのぼりましたが、特にインターネットニュースや個人ブログなどは、信ぴょう性を疑う必要があります。なぜなら、どこの誰がどういう根拠に基づいて言っているのか、出典がきちんと書かれている場合もあるものの、書かれていない場合が多いからです。

「1次情報」と「2次情報」

1次情報、2次情報という言葉をご存じでしょうか。実際にその発言をした当時者自身が「1次情報源」、それを報道する人や機関が「2次情報源」です。新聞社もテレビ局も後者です。だからこそ、その伝える内容が1次情報源の言ったことをありのままに伝えているのかどうか、受け取る私たちは常に疑う習慣をつけなければなりません。記事を書く時点で、記者の意見やものの見方が入り込む余地を排除できないためです。

「みんなそう言っているよ」

同様の危険性は、お子様同士の何気ない会話の中にも潜んでいます。代表例が「だってみんながそう言っているよ」というものです。みんなって誰でしょう。何人の人がそう言っているのでしょう。10人でしょうか100人でしょうか。たとえ100人だったとしても、日本中のみんなではありません。「誰が言ったのか」、「その人は出来事の当事者や専門家なのか」、「根拠となる数値はあるのか」など、発言の内容について常に吟味する習慣をつけることによって、「批判的思考力」の基礎が鍛えられます。
事実と意見の話はこの辺でおしまいにして、次回からは話題を変えたいと思います。

次回につづく。

藤原敏晃先生

同志社大学文学部・法学部卒業。 Z会で30数年勤務し、通信添削・出版・教室事業すべてを経験。退職直前の数年間は海外大学進学者向け英語スクールにて取締役。直近の数年…