引き続き、非認知能力について話を進めたいと思います。
OECD Learning Compass「学びのコンパス」
前回紹介した「OECD Education 2030」報告書では、子どもたちには人生や世界をよりよくする意思と力があるという大前提に基づき、子どもたち自身が社会に変革を起こすために、①「目標を設定」し、②「振り返り」をしながら、③「責任ある行動」をとる力を、子どもたちの「エージェンシー」(agency)と呼んでいます。そして、子どもたち一人ひとりがエージェンシー(行為の”主体”としての力)を発揮するために必要なものとして、上記のような「学びのコンパス2030」という学習の枠組み(フレームワーク)を提案しました。
必要とされる3つの力
「学びのコンパス」では、子どもたちが世界に貢献し、よりよい未来を創り出すために必要な力として、図に書かれている3つの力、すなわち①「新たな価値を創造する力」(Creating new value)、②「対立やジレンマを克服する力」(Reconciling tensions and dilemmas,)、③「責任ある行動をとる力」(Taking responsibility)を提示しています。
日本の新学習指導要領の「学力」への繋がり
そして、子どもたちが「社会全体のWell-being(ウェルビーイング)」、つまり心身両面での充足感、の実現に向けて進んでいくためには、この世界におけるさまざまなVUCAな課題(VUCA:第6回記事参照)に対応するために、さまざまな「コンピテンシー(Competencies)」、すなわち「資質」を身につけていく必要がある、と主張します。また、このようなコンピテンシーの構成要素として、①「知識」(Knowledge)、②「スキル」(Skills)、③「態度・価値」(Attitudes & Values)という3つを定義しました。これが、日本の新学習指導要領での3つの学力(=資質・能力)へと繋がっていくわけです(第5回記事参照)。
次回につづく。
【参考】
OECD Education2030(英語)
https://www.oecd.org/education/2030-project/
OECD Education2030について(日本語による補足説明)
https://www.oecd.org/education/2030-project/about/documents/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf