藤原先生による教育コラム

今回からしばらくは大きなテーマで書いていきたいと思います。最近の世界および日本の教育政策の変化と、その背景にある「脱偏差値」的考え方についてです。キーワードを一言で言い表すなら、「非認知スキル」への着目と言えるでしょう。

新しい学習指導要領

 2020年度から小学校、2021年度中学校、そして2022年度は高等学校と、今、学習指導要領が新しい内容に順次切り替わりつつあります。その最上位に置かれた目標は、子供たちの「生きる力」をいかに育むかということですが、その中でこれまで知識習得に偏りがちであった「学力」、より正確には「資質・能力」を、下記のようなより包括的な概念として捉えようという試みがなされています。

認知能力と非認知能力

 これまで学力としてイメージされてきたのは、主に左下の「知識・技能」でした。また、学校の授業においても、この「知識・技能」と、右下の「思考力・判断力・表現力など」の2つが、主に育成すべき能力として意識されてきました。しかし新学習指導要領で加わった、最上位に位置づけられている3つめの力、すなわち「主体性・多様性・協働性・学びに向かう力、人間性など」が、新しい教育政策の流れのもっとも注目すべき要素であると言えるでしょう。下2つはいわば「認知に関わる力・技能(スキル)」であるのに対し、3つめのこの力は「非認知に関わる力」です。

従来のペーパーテストや入試では測定できないこの「非認知能力」こそが、人工知能がやがて人間を凌駕すると言われている21世紀を生き抜くお子様にとって、もっとも重要な力である、と昨今では言われるようになりました。

それはなぜなのか、次回以降、紐解いていきたいと思います。

次回につづく。

【参考】
「新しい学習指導要領 ~生きる力:学びの、その先へ~」文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/

藤原敏晃先生

同志社大学文学部・法学部卒業。 Z会で30数年勤務し、通信添削・出版・教室事業すべてを経験。退職直前の数年間は海外大学進学者向け英語スクールにて取締役。直近の数年…